「いかすバンド天国」で印象に残ったやつ

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好きなすしのネタ　マグロ、イカ、ウニさあ食いねぇ

みんな大好き、おすし。ネタはバラエティーに富み、見た目も美しい。今や日本が誇る食文化として、世界中の人々から愛されています。好きなネタを選んでもらったら、やはり強かったのがマグロ。回転ずし派か、昔ながらのすし屋派かも尋ねたところ、お値段を理由に大差がつきました。

　１位、２位は予想通り、マグロの中トロ、赤身。「中トロは、すしの王様」（群馬、７２歳男性）。そのうまさ、説明不要でしょう。一方で、「マグロは定番。でも貴重な資源。浪費しすぎ」（兵庫、５７歳男性）と保護を訴える声も。

　イカが３位に。「私も歯ごたえが好きですが、３位はびっくり」。そう語るのは、「寿司（すし）屋のかみさんうちあけ話」の著者で、「名登利（なとり）寿司」（東京都中野区）の佐川芳枝さん（６８）。「塩とすだちで食べるのがおすすめです」と教えてくれた。

　高級ネタの代表格ウニが４位。「スペシャル感がある」（千葉、５９歳男性）。でも、苦手な人も多いのがウニ。筆者もその一人だ。「あの生臭さが……」と口にすると、「鮮度の違いがはっきりわかるネタですよ」と名登利寿司２代目の豊さん（４２）。紙面の写真用に握ってもらったウニを食べてみると、くさみがなく、その甘みにびっくり。

　５位はアナゴ。「実家がすし屋を営んでいた。アナゴには、その店の味付けが凝縮されている」（大阪、６０歳男性）

　回転ずしの影響が顕著に出たのが、サーモンの６位。「江戸前には本来、サーモンはありません」と佐川さん。サーモンはほとんどが、海外産の養殖物。名登利寿司では、国産の天然魚にこだわっているため、置かないという。一方、「生魚は嫌いですが、サーモンだけは食べられます」（大阪、５５歳女性）と、癖のない味に支持が集まった。

　■ツウ推しコハダ、回転ずしも人気

　順位こそ２３位だが、「店の優劣が分かるネタ」（愛知、６６歳男性）と、コハダ推しの声が目立った。「ツウな人たちでしょうね」と佐川さん。くさみをとるため、職人の技が求められるネタだという。コハダのように職人の仕事が求められる魚が上位に少ないのは、「回転ずしの利用者が多いからではないでしょうか」。

　実際、８割超が「昔ながらのすし屋より、回転ずしのほうが行く頻度が高い」と回答し、回転ずし派が大勢を占めた。理由に「安価。庶民の財布に合う」（滋賀、６２歳男性）と値段を挙げる声が多かった。「味もかなりよい」（大阪、５２歳男性）、「セットやサイドメニューが充実」（山口、３０歳女性）と質にも満足している。

　こうした声に、さぞ佐川さんは悔しがるかと思いきや、「すしが身近になったのはよいことです」。常連客や共働きのカップルを客層としているため、回転ずし人気は気にならないようだ。

　ただ、「昔ながらのすし屋が廃業して近くにない」（山口、６１歳女性）との声には、佐川さんも「そうなんですよね」と残念がる。かつて７、８軒のすし店が近くにあったが、次々と廃業。「後継ぎがいないことが直接の理由ですが、回転ずしに客をとられた面もあるでしょう」と推察する。

　昔ながらのすし屋派からは、「（すし職人の）心や魂が伝わってくる」（埼玉、４９歳男性）、「大将と話したり技術を見たり、他のお客さんと仲良くなったりするのが楽しい」（秋田、３９歳女性）と、すし職人とのやりとりをだいご味に感じているようだ。

　最後に紹介するのは、岡山の１１歳の少年の書き込み。「回転ずしでマグロを食べたとき、『おいしー』と感動しました。ぼくの行儀がよくなる年になったら、（昔ながらの）すし屋に連れて行ってあげると、母は言いました」

　こんな子がいる限り、日本のすし文化は大丈夫そうです。