【コロナ】「ヨックモック」「ゴディバ」が医療従事者に菓子無料提供　シガールなど1400カ所に

新型コロナウイルス感染拡大が続く中、菓子メーカーが医療従事者などに菓子を無償で届けるプロジェクトを行っている。製菓会社「ヨックモック」は、ロール状のクッキー「シガール」を１４００以上の医療現場などに提供。チョコレートの世界的メーカー「ゴディバ」では、全国の運送業者や保育士にチョコレートを届け、事業者に喜びの声が広がっている。（瀬戸　花音、富張　萌黄）

　１９６９年創業の「ヨックモック」（東京・千代田区）は現場で奮闘する医療従事者を中心にお菓子の寄贈を行っている。

　緊急事態宣言で国民の間に不安が大きく広がった４月頃から軽症者受け入れホテルなどに自主的にお菓子の寄贈を始めたが、その後、大々的な公募で寄贈する医療施設を募った。寄贈した施設は医療現場、軽症者受け入れホテルなどを含め１４００か所以上に上る。１か所につき約４００本から５００本のシガールやクッキーを配達した。

　同社には「菓子は人間の生活の中に欠くことの出来ないものである」という創業理念がある。マスクや防護服の寄付は定着してきているが、「お菓子を食べてもらって安心してほしい」と寄贈を決めた。

　ブランド・マーケティング部の島倉夕紀子さん（３７）は「みなさんからほっとできたという手書きのお礼状が送られてきてて…。お菓子の存在意義ってあるんだな、と」。昨年は子ども食堂で子供たちがお菓子を贈り合うイベントを開催するなど、これまでも社会貢献活動を行ってきた。お菓子は不要不急のものと言われがちだが「幸せにしたい場所に登場するもの」と島倉さん。演劇やライブのようなエンターテインメントと近い存在とし「こういうときだからこそ」と支援を続けていく。

　「ゴディバ」（東京・港区）は、全国の医療従事者や運送業者、保育士を対象に自社製チョコレートを寄付する「プロジェクトピンクバン」を４月から計６回行っている。

　同プロジェクトは第二次大戦の戦禍にさいなまれた創業地、ベルギー・ブリュッセル市民を励ますため、創業者が配達用の車をピンクに塗装し、チョコレートを届けたことから始まった。今回は、困難な環境下でも人々の「日常」を支えるため働く人たちに「“ハピネス（幸せ）”を届けよう」と始動。ＳＮＳなどで希望事業者を募り、衛生面から個別包装で複数種類のチョコレートを送った。

　担当者の今村彰延さん（４３）によると、多くの礼状が届き、中には手書きのものや寄せ書きもあったという。「一番ハピネスをいただいているのはゴディバだ」と今村さんは頬を緩めた。

2020年9月1日 8時0分スポーツ報知
https://hochi.news/articles/20200831-OHT1T50000.html