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殺人容疑で再逮捕　福岡女性刺殺、１５歳の少年

福岡市の商業施設で女性が殺害され、中学生の少年（１５）が銃刀法違反の疑いで現行犯逮捕された事件で、福岡県警は９日、少年を殺人の疑いで再逮捕し、発表した。捜査関係者によると、少年は「包丁を持っていることに気づいた女性に騒がれたので、56すつもりで刺した」と容疑を認めているという。

　少年課によると、少年は８月２８日午後７時半ごろ、福岡市中央区の商業施設「ＭＡＲＫ　ＩＳ（マークイズ）　福岡ももち」１階の女子トイレで同市の事務アルバイトの女性（２１）を刃物で複数回刺したり切りつけたりして殺害した疑いがある。

　捜査関係者によると、少年は女性とその友人女性の後をつけて女子トイレに侵入。少年は女性と会話を交わしており、会話の一部を個室にいた友人女性が聞いていた。女子トイレで包丁を持っていることをとがめる趣旨の内容で、これをきっかけに少年が包丁で刺したとみられるという。

　少年は女性を殺害後、包丁を手に施設１階を歩き回り、女児（６）に馬乗りになった直後、警備員に取り押さえられた。「女の子を盾にして逃げるためだった」と供述。福岡地検は９日、銃刀法違反容疑などについて処分保留とした。

　捜査関係者によると、少年は「腹が減ったので、包丁で店員を脅せば食べ物をもらえると思って盗んだ」と話しているという。

　■更生保護施設、出入りは自由

　少年は少年院から移ったばかりの更生保護施設を、事件前日に無断で抜け出していた。専門家によると、更生保護施設は入所者の自主的な立ち直りを見守るのが本来の役割であり、今回のような「失踪」は想定していないという。

　法務省の犯罪白書によると、２０１８年に少年院を出た後の引受先は実父母などの家族が８割と大半を占め、「更生保護施設・自立準備ホーム」は７％となっている。少年院を出た後の行き先については、法務省の保護観察所が調整して決める。

　更生保護施設は更生保護事業法に基づき、保護観察所の委託を受けた民間団体が運営。罪を犯した人や非行のある少年のうち、家族の援助を受けられないといった理由から自立更生が難しい人を引き受け、立ち直りを支援する。同省によると、現在全国に１０３施設ある。

　少年事件に詳しい九州大法学部の武内謙治教授は「施設で暮らすためのルールはあるが、法律で決められたものではない。あくまで生活を立て直すために支援する所で、基本は見守り型だ」と話す。入所者は施設の出入りも自由な場合が多く、少年が１日だけ滞在した福岡県内の施設も、出入りは原則自由だった。

　受け入れ先の選択肢を広げようという動きも出始めている。

　佐賀県弁護士会・子どもの権利委員長の下津浦（しもつうら）公弁護士は、更生をめざす少年を含め、居場所のない子どもが一時的に身を寄せる「子どもシェルター」の県内設置をめざす。

　子どもシェルターは児童福祉法に基づく施設。民間が運営し、２４時間態勢で常駐スタッフが見守り、弁護士らが次の居場所探しをサポートする。既存の施設に合わないなどの理由で行き先がない子どもの受け入れ先として期待されるが、一方で、問題行動の多い子どもの受け入れには専門性の高いスタッフが必要で、財政面も課題だ。現在、１４都道府県で１６施設が稼働するにとどまる。

疲れるだけやん