「ラーメン二郎を食べた後の異常な幸福感。生きてるなあという実感。３０回ぐらい通えば分かる。」

もちろん、いまの自分は「めっちゃくちゃうまい」とおもっている。でないと今年だけで160回以上も食べに行かない。
ただ、すべての人に向けて、圧倒的に絶対にうまいぞ、と勧められるかどうかというと、それはちょっとむずかしい。
万人には受け入れられる味ではないとおもう。さほどうまくないと感じる人はおそらくいるだろうし、
その人にとってはこのために並ぶというのは、たぶん意味がわからないだろう。

おもいだしてみると、私だって、ラーメン二郎を食べて「本当においしいと感じてとても幸せな気分」になったのは、
30回くらい食べてからあとだった気がする。

最初のころは（まあ、もっと若かったころでもあるのだが）、おいしいとはおもったが、
それよりも「なんか、おもしろい」という気分のほうが大きかった。
うまいというよりも、珍しくておもしろい食べ物だった。
その基本はいまでも変わっていない。

うまいからではなく、楽しいから行っているというのは、つまり「ただの食事」ではなくて「食事もするイベント」ということになる。
それは人を選ぶ。
動物的な肉感的な喜びとでもいうのだろうか、高校生男子がいちばん興奮するエリアとでもいうのだろうか、
私にとっての「二郎行き」はそういう「よくわからない情動を刺激する楽しげなイベント」に数えられている。

それを大人一人で出来るところがいいのだ。
だから「二郎でラーメンを食べる」というよりは、「ラーメン二郎に行く」といったほうがより近い。
「ラーメン二郎に出かけること」そのものが楽しいのである。

三日過ぎたらまた食べたくなるが