女子高生「パンツを脱ぐ感じ」「私も下着を取る感じよ」　JKさん達にとって、人前でマスクを外すのは裸になるのと同じに…もう、口は性器

女の気持ち
眼力　青森市・高山富佐代（主婦・７０歳）

　師走に入り初めて雪らしい雪が降った平日の午後、久しぶりにバスに乗った。

　「パンツを脱ぐ感じ」「そうそう、私も下着を取る感じよ」。後方から女子高生らしい３、４人の会話が耳に入り、少しギョッとした。
聞いていると「マスクを外すと素顔の口元がさらされて恥ずかしい」という意味だとわかった。

　さらに「今はメヂカラよね」「そう眼力」と続く。「絶対に負けられない」「目は口ほどにものを言う、でしょう？」。
なるほど。バスの中は私を含め、中年過ぎのおばさんが５、６人。後ろは振り返らないが皆、耳はダンボになって目が笑っている。

　この日、私は数カ月ぶりに行ったデパートの化粧品売り場で、使ったことのないアイラインを薦められた。
マスクで顔半分が隠されるので、目元や眉のための商品が特に売れ筋、との話に納得はしたが財力がない。

　バスを降りぎわにそっと後方を見ると、目元のかわいい娘たちがまだ、おしゃべりに夢中だった。
バスを降りるときは運転手さんに「ありがとう」と言うが、最近は声がくぐもって発音できない。
眼力はないが目でお礼をすると、向こうも目礼してくれた。

　帰宅しても私の頭の中を「パンツを脱ぐ感じ」と「眼力」の二つの言葉がグルグル回って仕方がない。
あの若い娘たちが、かわいい口元を見せて笑える新年になることを願うばかりの年の暮れである。

https://mainichi.jp/articles/20201231/ddm/013/070/006000c