菅が強弁している「高齢者接種7月末完了」、神奈川県の自治体で実現できると答えたのは真鶴町と清川村のみ

自民党県連は二十日、新型コロナウイルスワクチンの接種の見通しなどを、神奈川県内三十三市町村に聞き取った結果を県に提出した。
菅義偉首相や黒岩祐治知事が掲げる「高齢者向け接種の七月末完了」について多くの市町は「困難」と回答。関係者によると、実現できると回答したのは真鶴町と清川村のみだった。

　聞き取りは今月十～十八日に実施。市町村名を伏せた資料が報道機関に提供された。資料などによると、一市四町が高齢者全員の二回目接種の完了見通しを「八月」とした。

　ある町は「七月末までに完了するには、現在の計画より接種回数を一・五倍以上に増やさなければならず、厳しい」と回答。

医師らが不足しているという別の町は「県が大規模接種会場を医療資源の少ない県西地域に設置してほしい」と要望した。県は現時点で大規模接種会場を設置する考えはないという。

　他の市町は完了時期を明記していないが、見通しは厳しい。「さまざまな調整がやり直しとなり、現場は大変」と苦言を呈す町や、「市町村の状況を把握しないで一方的に完了時期を設定するのはやめてほしい。全ての混乱の原因」と批判する市もあった。

　当初目標より一カ月以上前倒しした別の市は「短期間で大量使用となる場合には、一定程度のワクチンロスが生じる」と課題を指摘。
加えて「県の介在により事務処理の遅延を含む煩雑な手続きが必要となっている」として、ワクチンの卸業者と直接やりとりする必要性を訴えた。

　他にもワクチンの供給スケジュールが二週間単位で国と県から示され、「予定が立てづらい」との声も相次いだ。週の終盤と翌週の序盤に配送されると、保管しきれない事態もあり得るため、「現在提供されている冷凍庫の数では恐怖を感じる」との意見もあった。

　土井隆典幹事長は「市町村が行き当たりばったりを強いられ、困っている実態が分かった。国にも近く要望を出す」と話した。

　自民県連の調査前に行われた国の調査では、県内では「七月末完了」が二十八、「八月中」が三、「九月以降」が二自治体だった。ただ「接種を担う医療従事者を確保できた前提」の回答で、県によると「希望的観測も含まれている」という。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/106011