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ゲームが部活、「本気で結果を」　目標定め主体的に／費用・回線が課題

オンラインの対戦型ゲームで競うｅスポーツを、部活動として採り入れる高校が出てきている。

　茨城県立東海高のコンピューター部に「ｅスポーツ班」ができたのは、昨年４月だった。それまではロボットのプログラミングや科学コンテストへの参加などが主な活動だったが、部の顧問で情報科教諭の千葉徹也さん（３９）が、「やってみるか」と声をかけて立ち上がった。

　二十数人いる部員のうち、ｅスポーツ班は十数人。週に２日、放課後の１時間半、ゲームの腕前を磨く。

　「生徒がよくゲームをしているのは知っていた。部員は自己表現が苦手なタイプが多いので、自信が持てる得意なものに挑戦させたいという思いがあった」と千葉さん。「仲間と作戦を立てることで論理的な思考を身につけ、ともに課題を解決することでコミュニケーションを育むきっかけにもしてほしい」と話す。

　「多くの生徒は普段、目標を持たずにただゲームをやっている。部としてプレー時間を決め、目標を定めて取り組むことで、主体的に動けるようになる」とも語る。

　副部長の大貫優斗さん（３年）は「小学生時代からゲームはやってきた。でも、いまは遊びではなく、大会で結果を残すための本気。心構えは違います」。

　部活動でｅスポーツに取り組む高校は、国内にどれくらいあるのか。

　全国高校ｅスポーツ選手権のエントリー数は、第１回大会（２０１８年度）の１１５校１５３チームから、第３回大会（２０年度）では１９４校３４６チームに増えた。

　大会には部活動だけではなく、同じ学校の生徒であれば有志で参加できる。ただ、大会を主催する毎日新聞社の担当者は「顧問のいるチームが圧倒的に多い。学校の公認が増えている」という認識だ。

　部活動でｅスポーツに取り組むには、いくつかのハードルがある。

　まずは費用の問題だ。ｅスポーツは、一定水準を超える性能のパソコンを使わないと、スムーズにプレーできない。１台あたり１５万～２０万円はかかる。さらに数人一組でのチーム戦なので、３～５台はそろえる必要がある。東海高のｅスポーツ班に、そんな予算はなかった。

　東海高では、インターネット回線の問題も立ちはだかった。ｅスポーツは、世界中の対戦相手とネット回線でつながる。だが、部活動という「教育目的」ではあっても、茨城県教育委員会から、校内からゲームサーバーへアクセスする許可が得られなかった。

　そこで千葉さんは、ｅスポーツの普及に携わるＩＴ企業のサードウェーブから、パソコンとネット回線の無償レンタルサービスを受け、環境を整えた。実際に班の活動が始まったのは、立ち上がって８カ月が過ぎた昨年１２月だった。

　千葉さんはｅスポーツを「生徒が挑戦できる手段」と考える。神奈川県内にある前任校でもコンピューター部にｅスポーツ班をつくった。教育現場では勉強の邪魔と考えられることの多かったゲームが、「時代の流れとともに教職員の理解を得られやすくなった」と感じている。

　その一方で、新たな懸念を指摘する。「校内でのゲームが許されることによって、生徒間に生まれる不公平感をどう解消していくか」