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「ぷよぷよ」でプログラミングゲーマーが中学校で授業

ゲーム「ぷよぷよ」を使ってプログラミングを学び、eスポーツ大会で競う授業が今年3月、東京都多摩市立多摩中学校で開かれた。学習指導要領で示されているプログラミング教育に、親しみやすいゲームを活用する試みだ
授業は3月11日にあり、ゲーム大手セガ、朝日新聞社運営eスポーツメディア「GAMEクロス」、旅行大手JTBが協力。システムエンジニアの経験がある公認プロライセンス保持者の「ぴぽにあ選手」が講師を務めた。別のプロのヨダソウマ選手も授業を手伝った。
2年生約150人が、昨年6月にセガが提供を始めた「ぷよぷよプログラミング」というソフトで学習した。ソースコードを写していくことで画面上のぷよが実際に動き、プレーすることができるようになる教材だ。基礎、初級、中級、上級とレベル別のコースがあり、気軽にHTML5とJavaScriptでプログラミングを学べるツールとして利用が広がっている。
タブレット端末のiPadにキーボードを接続して入力した。操作に慣れない生徒も多く、「セミコロン」「ドット」といったキーの位置を確認しながら打ち込んでいた。
「保存して数字が出たら成功です。わからなかったら手をあげて」。ぴぽにあ選手が声をかける中、生徒らは「落下速度を変える」「背景の色を変える」などの発展的な入力にも挑戦した。セガのスタッフも丁寧に質問に応じていた。
また、事前に生徒が描いたデザインを使い、背景の画像に差し替えるという「課題」も設定し、準備をして決めていたソースコードを入力すると、オリジナルのイラストも登場した。
イラストが採用された村上瑶季さんは、「かわいさとかまるっこさ、ぷよっとした感じを出せるようにした。1日3時間で2日ぐらいかかった」。授業を経験して「ゲームをやる側から、作る側に回るのがおもしろかった」と話した。
平沢梨乃さんは「ゲームの中で、どうやって動いているのかを疑問に思っていました。改めてプログラミングがすごいなって感じました」。西山夏陽君は「自分で打ったものがそのまま反映されておもしろかった。またやってみたいと思いました」と語った。
授業の後は、ぷよぷよeスポーツ大会を開いた。事前の予選を突破した上位16人が体育館の大画面で腕を競った。開催にあたっては、新型コロナウイルスの感染予防対策を徹底した。
プロの大会さながらに、ゲーム専用のデスクとチェアも準備され、生徒らは司会も担当。実況と解説をぴぽにあ選手とヨダソウマ選手が務めた。
大会で1位に輝いた片岡舞依さんは「兄が練習相手になってくれました」と喜んだ。授業も「普段やっているゲームの設定を自分で変えられておもしろかった」という。全体を通して「とても良い経験になったので、また来年度もやりたい」と話した。
惜しくも準優勝だった浜田一洋さんは、授業について「自分が今まで簡単に操作をしていたぷよぷよがまさかあんなに作るのに難しいことをしていたとは想像せず、驚きました。今まで疑問に思っていた謎を丁寧に教えてくれて、わかりやすかったです」。今回の経験については「将来、パソコンを使ってゲームを作るような仕事に就きたいと思っているので、かなり勉強になりました」と語った。
教壇に立ったぴぽにあ選手は「eスポーツと言ってもゲーム。学校では基本的にNGだった。eスポーツという文化として発展し、学校でできるのは感動的です。昔と比べると信じられないですね」と語った。ヨダソウマ選手は「のみ込みが早く、あっという間に流れを理解して先に進む生徒もいました」と振り返ったうえで、「生徒によって、それぞれ得意分野があると思います。色々な生徒が、色々な場所で活躍できるのはとても良いことだと感じました」と話し、ぷよぷよが持つ力の可能性を感じていた。
プログラミング教育は2020年度から小学校で必修化され、中学校でも、その内容を発展させる観点で、技術・家庭科で扱う。プログラムによる計測や制御のほか、ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツのプログラミングが盛り込まれている。高校でも、22年度からの学習が予定されている。
学年主任の川上晃男教諭（61）は技術科の担当で、一連の企画を中心となって進めた。プログラミングの授業については「難しいかなと思ったが、生徒たちが食らいついており、ふだん質問しない生徒も手を挙げていた。画面が動くとまたおもしろくなるので引き込まれるようにやっていた」と話した。千葉正法校長は「今の中学2年生は、大学入試で『情報』が必須となる学年。なじみのあるゲームを通して、プログラミングの基礎やeスポーツの楽しさを学べた」と評価した。そのうえで、新型コロナウイルスの影響で制約のある実情を踏まえ、「コロナ禍におけるキャリア教育としても、大変価値ある学びとなりました」