【東京五輪】金井大旺は転倒も26秒かけて完走「僕には離脱の選択肢ない」今後は歯科医師の道へ【陸上男子110M障害】

男子１１０メートル障害準決勝　転倒する金井大旺

◇4日　東京五輪　陸上男子110メートル障害準決勝（国立競技場）

　走りきった先に、待ち望んでいた結果も次もない。それでも、金井大旺（たいおう、25）＝ミズノ＝は起き上がり、ハードルを飛び越え、再び走りだす。「離脱するという選択肢はなくて、ゴールするという選択肢しか僕にはなかった」。26秒11という時間をかけて、男子110メートル障害準決勝を最後まで走りきった。

　号砲とともに抜群のスタートを切った。1台目のハードルは先頭で飛び越える。しかし、世界の猛者たちは簡単に逃がしてはくれない。並ばれ、そして、8台目。ハードルを引っかけて、転倒。「真っ白で考えることができなかった」。遠ざかるライバルの背中を、トラックに手をつき、見送るしかなかった。

　転倒がなければ、次の五輪は―。その言葉は当てはまらない。競技は今季限りで、今後は家業を継ぐため歯科医師を目指すと決めている。「次チャレンジすれば決勝に行けるかもしれないけど、最初で最後と決めていたからこそ、これまでの準備ができて今の実力があると思っている」。結果を冷静に受け入れた。

　ゴールした後、トラックに一礼した。「もう次の挑戦はないんだなという気持ちだった」。前日本記録でもある自己ベストの13秒16から2倍近く遅い26秒11という記録、自然と注がれた拍手とともに、競技人生の集大成、最初で最後の五輪が幕を閉じた。

8/4(水) 19:30配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/33b60c3e8af5d0449fea9dbce4f282b62d214fbb