「なぜ君は総理大臣になれないのか」の続編『香川1区』封切りへ　田崎史郎に論破され激昂する小川氏の姿も

映画「なぜ君は総理大臣になれないのか」で立憲民主党の小川淳也衆院議員（現・政調会長）に迫った大島新監督が今秋の衆院選を記録した続編を撮った。24日公開の「香川1区」。平井卓也前デジタル相らとの激しい選挙戦を追った大島は「毎日色々なことが起きた。選挙は人間をむき出しにする」と振り返る。

18年前の初出馬から小川氏を追い続ける大島はもともと続編を撮るつもりだったが、前作のヒットも手伝った小川氏の知名度アップや平井氏の大臣就任などで香川1区が注目選挙区となったことから、選挙戦だけで1本撮ることにした。
「自民党の強さ、人々が投票する理由も知りたいと思った」と大島。小川氏の支持者だけでなく、自民党の支持者にも粘り強く取材している。

「香川1区」の一場面。演説する小川淳也氏
前作で小川氏の強さと弱さに迫った大島の批評眼は健在。今回も日本維新の会への候補者取り下げ要請を政治ジャーナリストの田崎史郎氏に批判されて小川氏が激高する場面を生々しく撮っている。
「ことの是非より、冷静さを欠いていることが気になった。そこまで繊細で大丈夫だろうかと」と大島。たまたま居合わせた田崎氏との決定的瞬間だ。

選挙前には大島の取材に快く応じていた平井氏が、苦戦が伝えられた選挙戦半ばから態度を豹変（ひょうへん）させるところも見ものだ。
平井陣営は前作が小川氏の「PR映画」だという批判を繰り返し、岸田首相の応援演説の取材も拒否する。「意外なリアクションだった」と大島は振り返るが、平井氏にしても小川氏にしても、生きるか死ぬかの選挙がいかに政治家を神経質にするかがわかる。

10月31日の選挙から2カ月以内の公開は劇場側の要請に応じた。小川氏が立憲民主党の代表選に出馬したため、11月30日まで撮影。
公開1週間前に完成した。近年の映画興行では異例のスピード公開。鮮度を重視しながらも「時間がたっても耐えられる作品にしたいと頑張った」と大島は語る。ポレポレ東中野など東京の3館で封切り、1月下旬から全国順次公開。

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