13歳の黒人が医学部に最年少入学。すでに2つの学士号を取得持ち

13歳の少女がアメリカ史上最年少で医学部に入学したことが話題になっている。

彼女の名前はアレーナ・アナリー・ウィッカー。全米でトップクラスを誇るアラバマ大学バーミンガム校の医学部への入学が決まった。米紙「ワシントン・ポスト」によれば、13歳という年齢は、平均的な医学生よりも「10歳以上若い」という。

ウィッカーは12歳で高校を卒業し、その後、アリゾナ州立大学とオークウッド大学に進学した。卒業後すぐに、両大学の授業を受講しはじめ、わずか1年で、卒業に必要な学士過程の半分以上を終えており、すでに生物科学の分野で2つの学士号も取得している。

彼女の医学部入学は、アラバマ州が伝統的黒人大学 （HBCU）と提携して行っている「早期保証プログラム（特定の要件を満たす申請者に早期入学を提供するプログラム）」によって決まったと報じられている。

そんな彼女だが、米紙「ワシントン・ポスト」のインタビューでは「私は普通の13歳です」と述べている。ただ、自身が思う長けているスキルについてはこう語っている。

「時間管理の能力と自制心にはとても自信があります」

医療に関心を持つ前は、STEM（科学、技術、工学、数学）の分野に興味を持っていたそうだ。子供の頃から「サイエンス」に興味があり、「よく星をみていた。NASAで働きたいと思っていた」。

実際、史上最年少でNASAでのインターンシップを経験し、工学の講義も受けていたが、発展途上国での「ボランティア活動を通して、生物学に目覚めた」と、米誌「エボニー」に述べている。

特に、「ウイルス免疫学」に高い関心を持っているのは、「世界との関わりをより強く感じることができたから」。世界の片隅で、ウイルス感染により生活や命をむしばまれている人たちの存在を知り、「医療」への情熱を熱くした。

「治療法を見つけることで、その人たちを支援したいです」と語っている。

頭が良すぎて同級生にからかわれ…

ウィッカーの母親は、娘が3歳の時にすでに「他の子と違うことに気づいた」と、同紙に述べている。いわゆる「ギフテッド」で、小学校に入る頃には彼女の頭脳の高さは誰の目にも明らかだったようだ。

しかし、頭が良すぎることを同級生にからかわれ、それがいじめに発展したのを機に、母親は学校に通わせるのを辞めてホームスクーリング（家庭で学習を行う教育方法）に切り替えた。

のちに、彼女は5年生のときに再び通学を始めたが、同時に自宅で高校レベルの勉強を進めていた。数学や生物学などの高校の勉強は「簡単だった」、「直感的に理解できた」と述べており、12歳での“高校卒業”は、彼女にとって大ごとではなかったようだ。

学校でも家でも机に向かうのは、彼女にとってまったくストレスではなく、むしろ「喜び」で、子供の頃から「学校も、勉強も、読書も大好き」。

また、勉学以外の分野でも、彼女は慈善活動家として「ブラウン・STEM・ガール」という組織を立ち上げている。同組織は、彼女のような有色人種の少女たちが、いまよりもっとSTEMの分野でキャリアを築きやすくすることを目的としており、財政奨学金やメンターシッププログラムなどを提供している。資金集めから、プログラムの企画まで幅広い仕事を行っている。

アメリカ国家科学委員会によると、同国では「科学と工学の分野で働く女性は28％で、そのうち有色人種の女性は約5％だけ」。彼女はこの現状を変える使命を感じているそうだ。

https://courrier.jp/cj/295235/