社長「社員の給料削って利益出したら、株主から褒められて役員報酬上がったわw🤑」こいつが許される理由

　第2次安倍政権の後半には、政府が企業に対して賃上げを要請する事態が発生した。「官製春闘」などという言葉も生まれて、実際、政府の方が労働組合よりもよほど賃上げの役に立っていた。

　一方、企業の経営者はもう一つ別の要求を受けていた。それは、コーポレートガバナンス改革という言葉と共にやってきたROE（自己資本利益率）引き上げの要望だった。

　両者を単純に比較すると、一般社員への賃上げそれ自体はコストアップで減益要因なので、ROEの引き下げ要因だ。経営者は、どちらも尊重するような顔をしつつ、どちらによりウェイトをかけるかを決めなければならなかった。

　アクセルとブレーキを同時に踏むような状況の勝者はROEの方だった。経営者にとって、自分の報酬増につながるのはROEの方だったからだ。

　かつてであれば、社長は「社員の長」だったので、「社員の給料を上げて初めて自分の給料を上げるのだ」というくらいのポーズを見せる必要があったが、今や、社員よりも株主様が偉い。ROEを改善して、自分の報酬を上げる材料を補強することの方が自己利益のためなのだ。

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