「どっちが退職する?」　共働きの悩みの種・転勤制度の見直し相次ぐ

国内の企業で転勤制度を見直す動きが相次いでいる。

　理由の一つは、共働き世帯の増加だ。

　夫婦で家事や育児を分担している場合、どちらかが転居を迫られると現状の生活は維持できなくなる。

　当事者たちは具体的にどんな悩みを抱え、企業が整備した新たな制度をどう活用しているのか。
（この記事は2回に分けて掲載します。)

妻の会社の配慮でしのぐ
　「人事異動の時期になると、夫婦のどちらが仕事を辞めるのかという答えの出ない問題をいつも話し合っていました」

　損害保険ジャパン（本社・東京都新宿区）横浜ベイサイド支店で課長代理を務める都内在住の冨田卓二さん（41）は、そう打ち明ける。

　冨田さんは大学卒業後の2006年に入社し、初任地は神奈川だった。その後、10年に北海道、13年に東京に転勤した。

　北海道勤務のとき、別の会社で東京勤務の妻（41）と結婚し、東京に異動してから長女（11）と長男（8）が生まれた。

　以来、妻と家事や育児を分担してきたが、18年に東京から静岡への転勤を命じられ、ピンチを迎えた。

　だが、この時は妻の会社に配慮してもらい、妻も同じタイミングで静岡から通える愛知に転勤することでしのぐことができた。

　ただ、妻の会社は全国に拠点があるわけではないし、今後も配慮が得られるとは限らない。

　転勤への不安はどこまでも付きまとった。

給料より「転勤なし」
　損保ジャパンの社員の働き方は、海外や国内全…(以下有料版で，残り875文字)

毎日新聞　2024/12/12 11:00
https://mainichi.jp/articles/20241211/k00/00m/040/199000c