項羽も「俺は劉邦に負けた訳では無い。それを証明する」と言って馬から降りて漢の兵100人を殺した

元弘三年（一三三三）五月、上野国の御家人・新田義貞は鎌倉幕府に叛逆し、鎌倉に攻め入り、幕府方と激闘を展開しました。しかし次第に幕府方は劣勢となり、敗色は濃厚となっていくのです。長崎基資（長崎高資の子。円喜の孫）は、新田方との戦いに
専心し「夜昼八十余度」もの合戦で毎回、先陣となったと言われています（軍記物語『太平記』）。そのため自らは手負いとなり、郎党も多く討たれてしまうのです。そして主従僅かに百四十騎になってしまいます。

それでも基資の軍勢は怯むことはありませんでした。敵（新田方）のところに近付き、攻撃を仕掛け、手強い敵勢を破ったというのです。馬が疲弊したらまた別の馬に乗り換え、太刀が折れたら別の太刀を帯び、敵を翻弄したのでした。討ち取った敵は「三十二人」、
敵陣を破ること「八ヶ度」であったと言われています。そしてついに基資は、北条高時（幕府第十四代執権）が籠る東勝寺に戻るのです。中門に畏まり、涙を流す基資。基資は高時に対し、次のように伝えます。

「有り難くも代々、北条家にお仕えして朝夕に恩顔（高時の顔）を拝し奉るそのお名残りも、今生においては今日限りと思われます。基資、数ヶ所の合戦で敵を打ち払い、毎度勝ちをおさめましたが、方々の口は破られて、源氏（新田方）は鎌倉中に充満しております。
今となってはどのように武勇を奮ってもどうしようもありません。敵の手にかからぬうちに自害する覚悟をなさいませ。ただ基資が帰るまでは自害は待って頂きたい。殿のご存命の間に今一度、敵中に駆け入り、思う存分に合戦し冥途のお供をする時に思い出話として
お聞かせしましょう」と。基資はそう言うと、東勝寺を打ち出ていくのでした。高時はその基資の後ろ姿を見て、涙を流したと言います。基資は幕府方の負けを予想しながら、自らの武勇と高時への忠誠を見せつけるために再び敵中に駆け入らんとしたのでした。

北条高時に自害を勧めた家臣は必敗を覚悟しながらなぜ敵中に駆け入ろうとしたのか？（濱田浩一郎） - エキスパート - Yahoo!ニュース

元弘三年（一三三三）五月、上野国の御家人・新田義貞は鎌倉幕府に叛逆し、鎌倉に攻め入り、幕府方と激闘を展開しました。しかし次第に幕府方は劣勢となり、敗色は濃厚となっていくのです。長崎基資（長崎高資の子。

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