中国政府、新型コロナを最初に警告した武漢医師に対する処分を不当と認定

新型コロナ警鐘の医師への訓戒処分、中国政府の調査チームが「不当」と認定

　【瀋陽＝東慶一郎】中国国営新華社通信によると、公務員などの不正を取り締まる国家監察委員会の調査チームは１９日、当局の公表前に新型コロナウイルスへの警鐘を鳴らした李文亮医師（２月７日死去）を訓戒処分とした地元公安当局の対応について、「不当だった」とする調査報告を発表した。

　湖北省武漢市の病院に勤務していた李氏は昨年１２月３０日、原因不明の肺炎患者が続出していることを知り、ＳＮＳのグループチャットに関連情報を投稿した。李氏は１月３日に公安当局に呼び出され、事実でない情報を広めて社会秩序を乱したとして、訓戒処分を受けた。その後、自らが新型肺炎にかかり死亡した。

　調査報告を受け、武漢市の公安当局は１９日、「李氏の訓戒処分を撤回し、李氏の家族に対して謝罪する」と発表した。李氏の死を受けて噴出した、政府の隠蔽いんぺい体質への批判をかわす狙いとみられる。

　新華社電によると、調査チームの責任者は取材に対し、「一部の敵対勢力が中国共産党と政府を攻撃するため、李氏に『英雄』などのレッテルを貼っている」と述べ、政府批判につなげる報道をけん制した。

https://www.yomiuri.co.jp/world/20200319-OYT1T50292/