【コロナ19】 予測不能な状況で限界を見せた日本のマニュアル主義～キム・ギョンファ神田外語大准教授

◇「マニュアル主義」に対する韓日温度差
日本社会は「マニュアル王国」と呼んでも良いほど、多様な状況での行動指針がこまかくマニュアル化されている。政府や大企業などの大きな組織は勿論、小さな店や一回だけの行事にもマニュアルが存在する。さらに多くのマニュアルが「きちんと守られる」。マニュアルがよく守られる事実が意外という韓国人が多い。

この頃の言葉で「ケバケ(ケースバイケースの略語で、「状況によって違う」という意味の隠語）」を重視する韓国文化では、日本文化の「エフエム(「フィールド マニュアル」の略語で「古くさい」という意味の隠語)」精神より、すばやい状況判断と柔軟な対処がさらに高い評価を受けるからだろう。逆に、日本人は韓国で時々、マニュアルが軽く無視される事実にびっくりする。
（中略：韓国のコンビニ店員から「そんなに毎晩カップラーメンを食べたら健康によくない」と言われたエピソード）

いずれにせよ、韓日間のマニュアルを見る観点はずいぶん異なる。「マニュアルは必要悪」と考える韓国人にとって、どんな状況でもマニュアルを徹底的に守らなければならない、という日本人が融通のきかない意地っぱりに感じられる。逆に「マニュアルは絶対優先」と考える日本人には状況によってマニュアルを簡単に無視する韓国人は公私の区別をきちんとしない弱点だらけに見えるのが常なのだ。
（中略：◇‘モノヅクリ’、予測可能な災害状況では強み◇予測不可能な状況ではかえって障害になるマニュアル主義）

◇「コロナ19」事態で限界を表わすマニュアル主義

初めて経験するウイルス事態の中で日本社会が再びマニュアル主義の副作用で疲弊しているようだ。医療機関から保健所に情報を共有する方法がファックス送信に限定されたせいで感染者集計にエラーが続出する。家計補助のために支給する特別給付金は、オンラインで申請は受けるが公務員がいちいち手作業でデータをチェックし、支給されるまで時間がかかる。

コロナ事態で生計を脅かされる市民には一分一秒を争うが、厚い業務マニュアルが迅速対応の障害物になっている。こう見ると、韓国社会が「コロナ19」に比較的効果的に対応したのはマニュアルだけに頼らない柔軟性も大きな役割を果たした。感染病初期に診断キットに対する緊急使用を許可したとか、「ドライブ スルー」等の奇抜なアイディアをすぐに実行に移した。

その時その時の状況に合うように判断してす早く実践した結果であった。少なくとも今回の事態は場合によっては創意的な臨機応変がマニュアル主義より有効であることもある、という事実を証明した。

今後も社会が変化する速度はさらにはやくなるはずで、「コロナ19」事態のように過去に経験したことのない試練が差しせまってくる可能性も小さくない。時期適切で創意的な臨機応変が今後、差し迫る社会では核心戦略になるかもしれない。そのような面から日本社会はマニュアル主義の副作用を克服しなければならない、という重要な宿題を一つ受けとった。

ところで同時に考えなければならないことは、臨機応変はあくまでも臨機応変にすぎず、正攻法ではない点である。韓国ではこの前、利川（イチョン）物流倉庫で発生した火災で、数十人が空しく命を失った。安全不感症から始まった大型事故が絶えないことを見れば、マニュアルを軽視する風潮がどれほど危険かも痛感する。

経験を完全な教訓として後代に伝えるマニュアルの力を無視してはならない。マニュアル主義に陥って柔軟性を失うことは警戒するのが当然だが、原則主義からも習う点はあるということだ。

キム・ギョンファ／神田外国語大准教授

ソース：地震には一糸不乱マニュアル主義、コロナ臨機応変には障害物
https://www.hankookilbo.com/News/Read/202005180903366849

新型コロナ罹患の疑いで病院行った男が、マニュアル通りにしか対応してくれない。けしからん！
とインタビューに答えてたが、マニュアル無視していーかげんにやられるよりマシだろと思った。
ちなみにその男性は無事回復したんだけどね。