- 1 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 19:46:21.070 ID:NwFWxW780
- はじまるよー
こわくないよーよっといでー
- 2 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 19:47:45.266 ID:NwFWxW780
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あるニートは賭けにでた。||\ /||
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||/ [___]' \||一酸化炭素が部屋に充満し、命を奪う前に、
目の前で奇跡が起こることに、生死を賭したのだ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 3 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 19:48:05.953 ID:NwFWxW780
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('A`)あるニートは賭けにでたようです
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- 4 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 19:50:29.373 ID:qVqAGeYv0
- 懐かしいな
- 5 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 19:50:34.350 ID:NwFWxW780
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||/ [___]' \||少ない蓄え、全ての家財道具を売り払って購入した練炭と七輪、鉄網と脂の乗った最高級のサンマは、
彼の想像以上の速度で部屋をガス室へと変え、部屋を秋の香りと毒で満たした
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 6 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 19:53:23.206 ID:NwFWxW780
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||/ [___]' \||全ての隙間をダクトテープでふさぎ、火災警報器は破壊した。
彼の邪魔をする者は、誰もいないのだ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 7 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 19:55:38.140 ID:NwFWxW780
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||/ [___]' \||彼を叱る者も、彼の死を嘆く者もいないこの世界に別れを告げるため。
五日前に振り絞った勇気が無意味でなかったことの証明のために。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 8 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 19:55:54.890 ID:2VK1B8gs0
- しえん
- 9 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 19:56:47.188 ID:NwFWxW780
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||/ [___]' \||幼少期、決して裕福ではない家庭に育ち、
母親の手一つで育て上げられた人生は、幸福に満ちていたとは思わない。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 10 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 19:57:27.036 ID:VI5/0nWoa
- 懐かしい
- 11 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 19:59:53.267 ID:NwFWxW780
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||/ [___]' \||それでも自分の人生に意味があったのだと、
胸を張って声高に叫ぶ最後の手段は、これしかないと悟った。
故に、賭けにでたのだ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 13 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:01:17.414 ID:NwFWxW780
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||/ [___]' \||母親が連れて行ってくれた最初で最後の野球場。
少ない給料ながらも、奮発して作ってくれた唐揚げのお弁当。
入場券ではなく割引券だったため、球場に入ることが叶わなかったあの日。
彼は、その日と唐揚げ弁当の味を忘れたことはなかった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 14 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:02:49.082 ID:NwFWxW780
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||/ [___]' \||貴重な休暇を使い、授業参観に来てくれた母親。
他の家とは違ってみすぼらしい格好だったことを恥じ、家で罵倒した夜。
彼は、その夜の己程憎たらしく思ったことはなかった。
最も恥ずかしかったのは、周囲の目を気にして母を誇れなかった自分だった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 15 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:05:03.768 ID:NwFWxW780
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||/ [___]' \||学校の宿題を訊いても、母親の答えは時折間違っていた。
一緒に教科書を読もうと提案されたが、彼はそれを拒絶した。
それどころか、母親のことを馬鹿にしていた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 16 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:05:28.339 ID:NwFWxW780
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||/ [___]' \||機械に不慣れなくせに、中古の型落ち品のデジカメを買い、あれやこれを撮影していた母親。
操作方法を尋ねることでコミュニケーションを図ろうとしているのは分かっていた。
だが、その時の彼に、母親を気遣うということはできなかった。
それは、彼の悔いになった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 17 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:06:39.084 ID:ICTOFDctd
- こういうのキツいわ
- 18 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:07:32.429 ID:oBd93jU+0
- そんでなんで死ぬの
好きなことやれよ - 19 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:07:54.635 ID:NwFWxW780
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||/ [___]' \||成人式の日、彼は母親から小遣いをもらった。
友人と会ったら食事に金が必要だろう、ということだった。
彼に友人はいなかった。
金を使う機会もないまま家に帰り、彼は部屋に引きこもった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 20 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:08:31.626 ID:NwFWxW780
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||/ [___]' \||奨学金を借りて入学した三流大学を卒業し、どうにか内定を得た夜。
祝ってくれたのは、母親だけだった。
その頃にはもう、母親に対する気恥ずかしさはなく、発泡酒と総菜の晩餐を楽しんだ。
母親に楽をさせようと誓った夜になった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 21 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:09:13.859 ID:NwFWxW780
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||/ [___]' \||異変が訪れたのは就職して三か月後のことだった。
五人いた同期が一人、また一人と退社した。
彼らの仕事は、同期である彼らに降り注いだ。
同期は三人になった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 22 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:10:47.368 ID:NwFWxW780
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||/ [___]' \||就職から四か月後、残った同期は彼ともう一人の女だけになった。
彼が自分の仕事を懸命に果たす中、女はスターバックスでフラペチーノを飲んでいた。
彼は仕事を片付け、女は仕事を積み上げた。
それが数か月続いた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 23 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:11:40.024 ID:HBlev4m00
- 早く充満しろ
- 24 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:12:21.948 ID:NwFWxW780
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||/ [___]' \||ある日、仕事の終わりが見え、帰宅しようとした時のことだった。
女が自分の仕事を彼に手伝うよう、言ってきた。
彼は己の仕事が片付いたら手伝うと告げると、女が激怒した。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 25 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:14:02.384 ID:NwFWxW780
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||/ [___]' \||翌日、彼は上司に呼び出され、同期を手伝うよう指示された。
彼は己の仕事が終わり次第、と告げたが、話は聞き入れられなかった。
上司が女にでたらめを吹きこまれているとは、思いもしなかった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 26 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:17:24.985 ID:NwFWxW780
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||/ [___]' \||言葉や態度による暴力が続いた。
誰もが見て見ぬふりをして、誰もが遠巻きに様子を窺っていた。
大声で罵声を浴びせられていても、誰も助けようとはしなかった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 27 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:18:42.694 ID:NwFWxW780
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||/ [___]' \||手伝いをするも、女は感謝の言葉一つ述べなかった。
彼の仕事量は増え続けた。
女の仕事量は減り続けたが、その精度は低迷し続けた。
全ての原因は、彼の仕事に対する態度の問題だと上司に言われた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 28 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:19:51.524 ID:NwFWxW780
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||/ [___]' \||彼の心にひびを入れたのは、上司からの提案だった。
原因が彼にある以上、謝罪をするべきだと。
彼は大勢の前で謝罪をしたが、女は相変わらずの態度だった。
彼の心が疲弊し、睡眠障害が現れたこと以外、何も変わらなかった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 29 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:22:05.506 ID:NwFWxW780
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||/ [___]' \||耐えかね、母親に相談した。
いつもは味方の母親は、もう少し頑張れば、と言うだけだった。
彼は最後の砦を失ったと感じた。
彼の心は折れた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 30 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:23:05.564 ID:Iabe1tAL0
- (´;ω;`)
- 31 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:23:15.861 ID:NwFWxW780
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||/ [___]' \||初めての心療内科。
彼は少しでも楽になればと受診し、睡眠薬をもらった。
根本的な解決にはならず、彼は孤独に苛まれた。
転職活動をするだけの気力も、考えも、浮かびはしなかった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 32 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:23:39.138 ID:NwFWxW780
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||/ [___]' \||退職届を書き、上司に渡した。
彼の覚悟は、目の前で破り捨てられた。
その日から、彼はニートになった。
彼は独りになった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 34 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:26:15.347 ID:NwFWxW780
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||/ [___]' \||職場からの電話の一切を無視し、自室のベッドの上で寝転がるだけの日々。
奨学金の返済を考えることも、自分の将来について考えることもなかった。
ただ、何かを考えなければと考えるだけの日々が始まった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 35 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:26:48.548 ID:NwFWxW780
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||/ [___]' \||毎朝、母親が声をかけてくれることだけが、彼にとって外部との通信になった。
何をしても気力が続かない状態に陥った彼は、ただ、天井を眺めて時間を過ごした。
誰も彼を傷つける者はいなかった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 36 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:27:21.949 ID:pjOARJv+0
- コピぺネタが混ざってるのはなんなん?
- 37 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:29:55.109 ID:NwFWxW780
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||/ [___]' \||母親が職場で倒れたと、母親の携帯電話から連絡があった。
砕け、折れ、腐敗していた彼の心が一瞬で形を取り戻した。
彼にとって、彼以上の存在に危機が迫ったという事実は、虚無の中で生きていた男を動かした。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 38 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:30:19.070 ID:Iabe1tAL0
- (´;ω;`)こわい…
- 39 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:32:41.444 ID:NwFWxW780
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||/ [___]' \||病院で母親の手術費を聞いた時、どうあがいても払えないことは分かった。
だから、彼は賭けにでることにした。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 40 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:33:02.695 ID:NwFWxW780
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||/ [___]' \||必要だったのは学ではなく、行動力だった。
調べ、動き、そして決断する行動力。
彼は、かつての職場を訴えることにしたのである。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 41 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:34:10.941 ID:VzGF0CSw0
- 裁判は勝っても大抵赤字ですよ
- 42 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:35:44.781 ID:NwFWxW780
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||/ [___]' \||彼の行動を支えたのは、母親に対する贖罪の気持ちだけだった。
文句ひとつ言わず、彼がニートであることを黙認していた母親に対して彼が出来るのは、これしかなかった。
これしかなかったのだ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 43 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:37:17.528 ID:NwFWxW780
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||/ [___]' \||裁判が始まる直前、母親は息を引き取った。
彼はその時、病院ではなく、弁護士事務所にいた。
最期を看取られることもなく、母親はこの世を去ったのだ。
たった一人の家族にさえ、看取られることもなく。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 44 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:39:38.283 ID:NwFWxW780
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||/ [___]' \||激情が彼を支配した。
虚無が彼を支配した。
彼は、全てを失った。
今度こそ本当に独りになったのだ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 45 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:41:15.668 ID:oM1tkYZY0
- そういうのやめて?
- 46 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:41:42.818 ID:7ham8Jzk0
- まだ死なんのか?
- 47 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:42:05.916 ID:NwFWxW780
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||/ [___]' \||彼には葬式を行うだけの金も、気力もなかった。
赤字の勝訴にはなったが、母親の火葬と、墓に入れるための費用はかろうじて残された。
葬儀屋の言葉に従って全てを進行させたため、母親は大量の花と共に火葬され、埋葬された。
彼に手元にはわずかな金しか残らなかった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 48 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:42:14.919 ID:aG5tQqSH0
- aaが邪魔で文字が小さくて見えない
スマホのことも考えてくれ - 49 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:43:01.958 ID:NwFWxW780
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||/ [___]' \||遺品を整理していた際、デジカメのデータを何気なく見た。
そこには、彼の写真ばかりがあった。
ありとあらゆる後悔の念が、大粒の涙となって彼の全てを濡らした。
嗚咽は咆哮となって吐き出され、自分を許せなくなった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 50 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:44:38.983 ID:Iabe1tAL0
- (´;ω;`)あおーんあおーん
- 51 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:44:42.018 ID:rAx68N0q0
- きつい…(´・ω・`)
- 52 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:46:01.575 ID:NwFWxW780
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||/ [___]' \||どれだけ疲れていても、そのことを口に出さない母親。
いつも困ったような顔で笑う母親。
あるニートは、誰よりも母親を愛していた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 53 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:46:44.523 ID:NwFWxW780
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||/ [___]' \||母親の遺品の中に、母子健康手帳が見つからないことに、彼は違和感を覚えた。
それは小さな違和感だった。
あれだけ溺愛してくれた母親に限って、それを無くすなど考えられなかったのだ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 54 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:46:58.552 ID:NwFWxW780
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||/ [___]' \||彼の違和感を裏付けるものは、他にもあった。
母親の年齢から逆算すると、彼は母親が14歳の時に生まれたことになる。
これまでに聞かされていた年齢よりもはるかに若い母の年齢。
違和感は疑念になり、疑念は確信を求めて彼を動かした。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 55 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:47:43.407 ID:NwFWxW780
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||/ [___]' \||役所から取り寄せた資料を見た時、彼は絶句した。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 56 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:48:28.477 ID:rAx68N0q0
- …(´・ω・`)
- 57 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:48:42.244 ID:ZSZJkfcg0
- 展開が遅くてイライラする-1000ポイント
- 58 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:48:49.141 ID:NwFWxW780
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||/ [___]' \||母だと思っていた人は、母ではなかった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 59 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:49:09.206 ID:NwFWxW780
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||/ [___]' \||彼女は、彼の姉だった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 60 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:49:10.925 ID:7ham8Jzk0
- ( ゚д゚)
- 61 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:49:24.826 ID:NwFWxW780
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||/ [___]' \||中学を卒業してすぐに就職し、一人で彼を育てたのだ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 62 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:49:27.207 ID:Luv6GsPM0
- 待ってた
- 63 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:49:33.043 ID:CGDU+RoL0
- え?
- 64 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:49:34.857 ID:IcffaAaNd
- ブーン系じゃん!
めっきり廃れてしまったから嬉しい - 65 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:49:43.725 ID:rAx68N0q0
- !?
- 66 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:49:54.578 ID:NwFWxW780
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||/ [___]' \||要領が悪いと思ったのも。
言動が幼いと感じたのも。
全て、理由があったのだ。
彼を育てるために、彼女は学ぶ機会を諦めたのである。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 68 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:50:15.495 ID:rAx68N0q0
- やめろ
- 69 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:50:21.839 ID:NwFWxW780
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||/ [___]' \||彼は今度こそ、自分と言う存在を許せなくなった。
世界の何よりも自分を嫌悪し、憎悪した。
廃人のように生きる道を選ぼうとしたが、彼は、最後に賭けにでることにした。
人生で最後の賭けに。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 70 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:50:59.916 ID:NwFWxW780
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あるニートは賭けにでた。||\ /||
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||/ [___]' \||首を吊るのは嫌だった。
手首を切るのも嫌だった。
痛みや苦しみのない方法を考えた結果、練炭を使うことにした。
そして、母親の好物だったサンマを焼くことにしたのだ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 71 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:51:09.284 ID:VA6voVa/M
- VIPでブーン系じゃーんと思って開いたら鬱すぎてつらい
ウツダシノウ - 72 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:51:17.914 ID:NwFWxW780
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あるニートは賭けにでた。||\ /||
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||/ [___]' \||一酸化炭素が部屋に充満し、命を奪う前に、
玄関から奇跡がお邪魔してくることに、生死を賭したのだ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 74 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:51:34.682 ID:NwFWxW780
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あるニートは賭けにでた。||\ /||
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||/ [___]' \||奇跡の代償が大きいことは分かっていた。
しかし、故に、賭ける価値があった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 75 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:51:48.517 ID:NwFWxW780
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あるニートは賭けにでた。||\ /||
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||/ [___]' \||万が一この世に奇跡があるのだとしたら。
きっと、彼が命を失うその寸前に、それが起きるはずだ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 76 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:52:09.730 ID:NwFWxW780
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あるニートは賭けにでた。||\ /||
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||/ [___]' \||死者が蘇ることなど有り得ない。
彼はその手で母親の遺体を見て、骨になった彼女を埋葬したのだ。
それが覆ることなど、絶対にあり得ない。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 77 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:53:10.811 ID:/FhgcanD0
- ④
- 78 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:53:12.034 ID:NwFWxW780
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あるニートは賭けにでた。||\ /||
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||/ [___]' \||彼が望んだのは、母親の幻影をもう一度その目で見ることだった。
そして、謝罪と感謝を口にして、この世界に別れを告げること。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 79 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:53:35.128 ID:NwFWxW780
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あるニートは賭けにでた。||\ /||
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||/ [___]' \||願うのは走馬灯。
望むのは生涯最後の幻想。
実体のない母親の姿と向き合うことさえできれば、もう、それだけで十分だった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 80 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:54:01.795 ID:eRnO1j8F0
- ここで鉄パイプ持った泣き顔の八頭身
- 81 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:54:05.083 ID:eFdM2+3P0
- ねーちゃんの分まで幸せに生きろよ
- 83 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:54:23.372 ID:NwFWxW780
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あるニートは賭けにでた。||\ /||
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||/ [___]' \||遺書は残さなかった。
家電量販店のパソコンを利用し、
インターネットのメールサービスで時間指定のメールを警察に送るようにだけ設定してある。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 84 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:54:43.224 ID:NwFWxW780
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あるニートは賭けにでた。||\ /||
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||/ [___]' \||これで、彼が死んだ頃には警察が調査に来ることになる。
腐乱死体と化して大家に迷惑をかけずに済む。
この世に残すのは、彼の死体だけでいいのだ。
全ては完璧な計画だった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 85 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:55:20.926 ID:NwFWxW780
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あるニートは賭けにでた。||\ /||
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||/ [___]' \||サンマからしたたり落ちた油が炭の上で燃え、爆ぜ、煙が部屋を白くしていく。
息苦しさを徐々に覚え、次第に、眠気が彼を襲い始めた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 86 名前:匿名のゴリラ 投稿日時:2020/07/23(木) 20:56:07.028 ID:NwFWxW780
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あるニートは賭けにでた。||\ /||
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||/ [___]' \||涙が流れてきた。
それは煙が目に染みたことが原因ではなかった。
ただ、自然と涙が頬を濡らし始めたのである。
母親が死んでから、彼の心は壊れていた。
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