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https://digital.asahi.com/articles/DA3S14677027.html

「３５年までに中堅先進国」　中国、１人あたりＧＤＰ目標　５中全会閉幕　習氏続投、見方強まる

中国共産党の第１９期中央委員会第５回全体会議（５中全会）が２９日、閉幕した。新たに策定した２０３５年までの長期目標では、経済力、科学技術力、総合的な国力を大幅に高めるとし、「１人当たりのＧＤＰ（国内総生産）を中堅先進国の水準に引き上げる」と表明。習近平（シーチンピン）総書記の後継に関わる抜擢（ばってき）人事はなかったとみられ、２２年の次の党大会後も習氏が続投する可能性が高まっている。▼国際面＝「エネルギー革命推進」

　閉幕後、国営新華社通信が成果をまとめたコミュニケを配信した。

　今回の５中全会は、今世紀半ばまでに「社会主義現代化国家」を実現するという習指導部の公約実現に向け、中間点にあたる３５年までの目標を策定した。

　米国との技術覇権争いも念頭に、「核心的な技術分野で躍進し、先端のイノベーション型国家の仲間入りをする」と言明。１人当たりのＧＤＰを中堅先進国並みにするほか、「中間所得層の大幅拡大」も盛った。

　新たな中期経済計画「第１４次５カ年計画」（２０２１～２５年）でも、イノベーション力の強化を進めると強調。対米関係の悪化や新型コロナウイルスの影響などを踏まえ、「強大な国内市場を形成」して海外への依存を薄める新たな成長モデル「双循環」を促進するとうたった。安全保障面では「国防力と経済力の一体的な向上」を打ち出し、軍備増強を続けていく構えを示した。

　１０年前の１７期５中全会では、国家副主席だった習氏が中央軍事委員会副主席に選ばれて次期指導者の地位を確立した。コミュニケの全文は数日後に発表される見通しだが、後継指名につながる人事はなかったとみられる。（北京＝高田正幸）

　■米を意識、経済力の強化強調

　５中全会で採択された第１４次５カ年計画には、新型コロナウイルスの影響と、長期化する米国との対立への意識が色濃く出た。コミュニケは「強大な国内市場の形成」「科学技術の自立」などをうたい、自国の経済力をさらに強くして難局を乗り切るとの決意を強くにじませた。

　米国とは様々な分野で対立が深まる。中国企業が台頭するハイテク分野で制裁を連発され、通信機器大手の華為技術（ファーウェイ）は得意とする高速通信規格「５Ｇ」で各国の市場から排除されつつある。

　特に「産業のコメ」ともいわれ、携帯電話などに使われる高性能半導体では、国内の技術が遅れている点を狙い打ちされ、調達が難しくなった。コミュニケでも「イノベーションの能力が高い要求に適応できていない」と認めた。中国政府が目をつけたのが、急成長した１４億人の消費市場を生かすことだ。内需を生かし経済のパイを大きくすれば、国際情勢の影響を受けづらくなる。また、巨大な国内市場で成長した企業が人工知能（ＡＩ）や半導体などの先端分野でイノベーションを起こし部品などを内製化すれば、米国の制裁で狙われそうな弱点を減らすことができる。

　コミュニケでは３５年の目標として、国民１人当たりのＧＤＰを中堅先進国並みにするとした。国際通貨基金（ＩＭＦ）によると、中国は１９年時点で約１万ドル。これを約３万ドルのイタリアや韓国などの水準に引き上げる考えとみられる。だが、今後の急激な少子高齢化や人口減などへの具体的な対応策は見えていない。（北京＝西山明宏）

　■５中全会の決定事項要旨

　【第１４次５カ年計画】

　・技術革新（イノベーション）を国の現代化の中核に置き、科学技術の自立を国家発展戦略の支えとする。

　・製造強国、品質強国、インターネット強国、デジタル強国の建設に注力する。

　・食糧安全保障を確保し、エネルギー革命を進め、軍の現代化を加速させる。

　【２０３５年までの長期計画】

　・経済力、科学技術力、総合国力で飛躍を遂げ、先端のイノベーション型国家を目指す。

　・１人当たりＧＤＰを中堅先進国の水準に引き上げる。

　・二酸化炭素の排出量をピークアウトさせ、その後も着実に減らす。