釣り行こうと思う。　海と川どっちがええの❓❔？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？

https://digital.asahi.com/sp/articles/ASP7Q4WRLP7MUTQP05G.html

「釣りと陸上は通ずる」　釣りの師匠が見た山県亮太の癖

東京オリンピック（五輪）陸上男子100メートルに出場する日本代表の山県亮太（29）は海に出ると、童心に帰ったかのように夢中で釣りざおを振る。その研究熱心さは陸上と変わらないほど。そして言う。

　「陸上競技と釣りは通じる部分がある」

　山県は瀬戸内海に面する広島市出身。父親と一緒に子どもの頃からよく釣りに出かけた。慶大を経て、社会人（セイコー所属）になってから、改めて釣りのおもしろさに目覚めた。

　「どうしてこのルアーを使うのか」

　「どの投げ方だとルアーを遠くに飛ばせるのか」

　釣りは気候や潮の満ち引き、波の高さを踏まえて、どこに魚がいるか「仮説」を立てる。

　ルアーの形や大きさを変えながら、リールを巻いて、魚が釣れるかどうかを確かめる。

　この繰り返しが、おもしろい。理由もわかっている。

　どこか似ている。

　100メートルだ。

　10秒足らずの時間内で持てる全てを出し切る世界だ。

　コンマ何秒を縮めるために、自分の体格に合う筋肉量を考え、食事や練習方法を突き詰める。

　飽くなき探究心が実を結んだのは今年6月。9秒95の日本最速タイムをたたき出した。

　「陸上ではタイム、釣りでは釣果を求めて、ロジカルに考える過程を大切にしている。釣りに真剣な姿を見ると、本質を探すくせがあるんだなと思う」

　そう話すのは、中学時代に陸上の大会で山県と知り合い、今も一緒に釣りに出かける仲の黒田寛亮さん（29）。釣り具メーカー「シマノ」と契約するアングラー（釣り人）で、同学年の山県にとって「釣りの師匠」のような存在だ。

　「がっちゃん（山県）は、最初から釣りがうまかったですよ」と黒田さんは振り返る。質問攻めに合うことも多く、「安定した釣果を出すためには探究心が必要。彼が陸上で結果を出し続けている理由がわかります」。

　一緒にいるときは、釣り談議に花を咲かせる。普段はほとんど陸上の話をしないが、山県が釣りと陸上の共通点について語ったときのことが印象に残る。

　「釣りは日々変化するポイントやタイミングに、どうアジャストするかが大事になるよね。陸上もその日によって体のコンディションは違う。それでも走るときに『ズレ』が出ないように、うまく自分を体に合わせないといけないんだ」

　山県は6月の日本選手権で3大会連続の五輪出場を決めたが、2016年リオデジャネイロ五輪から東京五輪までの道のりは順風満帆でなかった。

　昨年、一昨年とけがに泣き、「次が最後かもしれない」と思いながら走ることもあった。

　昨夏、黒田さんは海に向かう車の中で「五輪が終わったら、また4年後の五輪、という感じで目指しているの？」と尋ねた。

　助手席の山県は答えた。

　「4年後ではなくて、毎年やってみて、来年もできそうと思えたら、競技を続けている。その積み重ねが結果的に、五輪を目指すことにつながっている」

　五輪に至るまでの試合は通過点ではなく、全てが五輪につながっていた。目標に向かう過程を大切にするからこそ、けがにすら全力で向き合えたと黒田さんは実感する。

　釣りでも陸上でも、常に考えて、準備は怠らない。その成果がきっと、東京・国立競技場のトラックの上でも出る。