【台湾】蔡政権、新型コロナウイルス対策を次々と迅速に実施して支持率急上昇

台湾・蔡政権の支持率急上昇　新型コロナへの厳格対応を評価

毎日新聞2020年2月25日 22時56分(最終更新 2月25日 22時56分)

　台湾の蔡英文総統の支持率が急上昇し、2016年の政権発足時以来の高水準になっている。
新型のコロナウイルスの感染対策で、早期に中国人の渡航を禁止するなど厳しい措置を講じたことが評価されているようだ。
台湾はもともと中国との人的交流が多いが、25日午後2時現在で感染確認は31人にとどまっている。

　民間団体「台湾民意基金会」が24日に発表した世論調査によると、蔡氏の支持率は68・5％。1月と比べ11・8ポイントも上昇した。
政権発足時（16年5月）の69・9％に次ぎ、2番目に高い。感染対策では「80点以上」とした人が75・3％にのぼった。
基金会は「1月の総統選勝利と感染対策が支持率上昇の2大要因だ」と分析した。大手テレビ局「TVBS」が12日に発表した調査で
も蔡氏の支持率は19年12月と比べ13ポイントも上昇して54％となり、政権発足以来、最高を更新した。感染対策に「満足」と答えた人は71％に達した。

　蔡政権は1月26日に武漢がある湖北省の住民の入境を禁止。2月6日には中国本土在住者の台湾入境とクルーズ船寄港を禁止するなど、
矢継ぎ早に対策を打ち出している。担当大臣は毎日記者会見を開いて情報公開を徹底。各医療機関では、患者の健康保険カードを読み取ることで、
中韓や日本など感染者多発国への最近の渡航履歴が表示されるシステムも導入した。

　台湾は02～03年に大流行した重症急性呼吸器症候群（SARS）で多くの死者を出しており、感染症に対する市民の警戒感は強い。
当時、蔡氏は対中政策を所管する閣僚、陳建仁副総統は衛生担当の閣僚として、感染対策を指揮した経験がある。陳氏は台湾大公共衛生研究所長も務めた防疫のスペシャリストでもある。

　ただ台湾でも感染者数は少しずつ増えており、予断を許さない状況が続いている。【台北・福岡静哉】

https://mainichi.jp/articles/20200225/k00/00m/030/212000c