新宿駅西口の昭和感は異常　京王とか小田急とかルミネとか全てがボロい

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くにお・とおる×はるか・かなた　結成50年コンビ対談

酒井くにお・とおる、海原（うなばら）はるか・かなたはなんと、今年で結成半世紀。11月の記念公演を前に、漫才師たちにコンビの歩みを振り返ってもらった。（篠塚健一）
伝説の「新花月」
くにお通天閣の近くにあった新花月（演芸場）はすごいとこだったねえ。
とおるよくヤジを飛ばされました。昭和50年ぐらいから出ましたけど、東京から来た僕らに「関東弁しゃべるな」「おもろないなあ」……。
くにおお客がいきなり立ち上がるんですもん。そしたら、別のお客が「聞いてやれよっ、おまえ」なんてね。お客同士でケンカが始まり、「どうしたらいいんでしょう」と言ったら、シャレた客がいましたわ。「ケンカの解説せいっ」
はるか楽屋入りするまでに酔っ払いを見ない方が珍しかった。
かなた酔うてはんねんけど、「おまえら気に入った」。そう言って、舞台にグシャグシャのお札を置いてくれはるお客もいたなあ。
はるか1万円もらったこともある。酔いがさめると戻ってきて「9千円返してくれ」。
かなた今晩寝るとこないねんって
８０年代の漫才ブーム
とおる漫才ブーム（1980年代はじめ）のころは、僕らも東京へ行ってたんですよ。漫才より女装のコントが重宝されて、キワモノのような扱いでしたけど。
かなた僕らはテレビは出てなかったけど、ラジオの漫才番組に追われてね。いろんな局に番組があったから。
くにおとにかく忙しい。スタジオでほかの芸人さんと会っても、詳しい話なんてする間もありませんでした。
とおるブームが下火になると、漫才番組は少なくなりました。それで僕らは劇団を作り、心を紛らわしたんです。
くにおこれが売れたんですよ。芝居は見せるわ、漫才もやるわ。
とおるネタ合わせの時間が少なくなったから、漫才にアドリブを入れて適当にしゃべるようになったんです。それまではお兄さんがボケ、僕がツッコミだったけど、僕がツッコミボケのような感じになって。それが今の形につながっています。
爆笑ギャグ生んだ偶然
はるか我々はギャグ。たまたま楽屋で、風呂場に鍵をかけて薄くなった髪の毛をごまかすセットをしたんです。オールバックで戦国時代の落ち武者みたいに。テレビに出てないヤツはおもろないと思われるのが嫌でね。これが楽屋でバカウケ。それを相方が見てたんですよ。
かなたちょうどやってた漫才が、ドライヤーの貸し借りで夫婦ゲンカになるネタで。ドライヤーなんかいらんと、相方の髪を舞台で吹いたのが始まりです。偶然もええとこ。40歳は過ぎてたと思いますけど。ちゃんと記録しておけば良かったなあ。
はるかいつもの漫才とセリフちゃうやんかと思ってたら、最後に髪を吹かれて。それはもう時限爆弾みたいな笑いでした。
とおるCMに出ましたよね。
はるかあれで覚えてもらえました。取り逃してきた芸人の運気が一気に来てくれた。たとえ持ち時間1分でも、「きょうは風が強かったなあ」「こないなりまんねん」。それでツカめる。
ベテランの境地
とおるうちは3年前にお兄さんが腰椎（ようつい）圧迫骨折をして。もう立てないんじゃないかって半あきらめました。よく戻ってきた。
かなた僕も2年前に腰部脊柱管狭窄症（せきちゅうかんきょうさくしょう）で手術をして。去年復帰してこれからと思てたらコロナで仕事がなくなって。不安はありますよ。余興の仕事でネタが飛んで、髪の毛を吹くのを忘れたこともあった。
くにおうちは、舞台で注意してくるからね。それをお客さんが笑うんですわ。
とおる「困るんだけどな～」「前に進まんのやけどなあ～」
はるか一生懸命に稽古をして、チグハグになっても記念公演は楽しめたら。救いがあるのは、くにお・とおるさんと一緒にやらせてもらえること。責任も半分ずつ。
かなた笑いは8割任せますよ。
とおる新作をやることになっているんで、覚えなアカン。50年たってもまだまだ前に向かって挑戦してます、みたいなもんですよね。
くにおホントは進んでませんけどねえ。
かなた私らを見て励みに思ってくれる人がいれば、私らも励まされる。元気な間はがんばりたい。
とおる現状維持でね。
秋の昼下がり、4人が所属する松竹芸能に集まってもらっての対談は1時間半におよびました。年齢を足すと285歳。同期のライバルという若手の感覚とは違う、「同窓会」のような和やかな雰囲気でした。
司会をしながら、何度も大笑い。「55周年を楽しみにしています」と口にしたら、「還暦の60周年いきますよ。ハハハッ」とかなたさん。脱帽です。
芸歴50周年記念公演11月8日午後2時、大阪市中央区の心斎橋角座。